私たちは進歩を考えるときに、常になにかを足していくという発想をする。
引いていくという発想はほとんどしない。
かろうじて経費節減の合理化などでこの引くという発想をするぐらいだ。
つまり、病気が存在するなら、病院をつくろう。
犯罪が発生するなら、警察をつくろう。
紛争が発生するなら、裁判所をつくろう・・・・という具合である。
そして、それが文明や社会の進歩だと思い込んでいるのである。
こうして、病気や犯罪や紛争がないと、逆に成り立たない社会になるのである。
しかし、病気のない世界が実現すれば、そこには医者はいなくなる。
犯罪のない世界になれば、警察官はいらなくなる。
紛争のない世界になれば、調停人は必要なくなる。
果たしてどちらが文明の健全な方向性といえるだろうか。
病院や警察、裁判所が沢山ある世界だろうか。
私たちは、必要があってこの文明を作っているのだ。
病気や犯罪や紛争がなくなると困るのは私たちなのである。
だから、いつまでたっても理想郷にはならないのである。
◇◇◇◇◇
PR